北九州市平和のまちミュージアム
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    学芸員日記

    天災は忘れた頃にやってくる~昭和28年北九州大水害~

    2023/03/10

    No.57 令和5(2023)年3月10日

     明日、3月11日は東日本大震災から12年。地震と津波により多くの尊い命が失われ、つづく福島第一原子力発電所で起きた事故により、今なお避難生活を余儀なくされている人もいます。

     戦後、北九州でも甚大な自然災害が起こったことを知っていますか。昭和28(1953)年6月、停滞した梅雨前線による豪雨が引き起こした西日本大水害。このうち北九州地域での水害をとりわけ「北九州大水害」と呼びます。6月25日から28日にかけ、門司市では646.1㎜、小倉市では544.0㎜、八幡市では501.0㎜の記録的な大雨が降り、各地で河川の氾濫が多発しました。

     特に被害が大きかったのは門司市です。山々が相次いで山腹崩壊を起こし、山崩れにより生じた土や石などが水と一体となって流れ落ちる、いわゆる山津波(土石流)が発生しました。当時、門司市に住んでいた人は、まだ避難しなくても大丈夫と自宅待機をしていたら、一気に斜面が崩壊して避難できる状態ではなくなってしまったと語っています。

    (門司区谷町付近の被災状況『昭和28年北九州大水害写真集』より)

     関門鉄道トンネルには10万㎥(中型トラック1万台分)もの濁流が流れ込み、3週間にわたって不通となりました。当時、門司港の客車区に勤務していた方は、線路不通のためにバスや徒歩などで約130㎞迂回し、通常は列車で1時間ほどの通勤が25時間もかかってやっと職場に到着したそうです。

     北九州大水害による5市の死者および行方不明者は183名。この大水害を忘れず、今後の災害への教訓とするため、北九州市危機管理室では、「昭和28年北九州大水害の記憶 明日の命を守るために」という映像を平成28(2016)年に作製しています。当該DVDは市役所および区役所で貸出をしているほか、YouTubeでも視聴可能なのでぜひご覧ください。

     「天災は忘れた頃にやってくる」という警句を物理・防災学者の寺田寅彦が遺していますが、いざという時に適切な行動がとれるよう、日頃から災害に対する心構えと対策を怠らないようにしましょう。

    (学芸員M)

    【参考文献】

    北九州市総務局総務課編『昭和28年北九州大水害写真集』、北九州市、1984年

    北九州市史編さん委員会編『北九州市史 近代・現代』行政・社会、北九州市、1987年

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