ミュージアム横で新発見! ~錦春稲荷神社参道跡~
2025/05/23
No. 112 令和7(2025)年5月23日
以前の学芸員日記で、現在平和のまちミュージアムが建っている場所には、小倉陸軍造兵廠従業員が信仰した、錦春稲荷神社が存在したことを紹介しました。

この稲荷神社には、2つの参道がありました。このうち、小倉陸軍造兵廠本部事務所(現在の市立中央図書館の場所)方面から神社へ向かう参道の跡には、石造の反橋(上写真)が残っています。
錦春稲荷神社のもう1つの参道は、造兵廠敷地外から直接神社の境内に行けるように、現在の小倉北警察署前交差点付近から伸びていました。今回新たに発見したのは、この参道の痕跡です。

ミュージアム横の自動販売機そばから、北側の小文字通りを見下ろすと、坂道らしきもの(上写真の赤線内)が見えます。これが、稲荷神社の参道の跡です。

小文字通りから見上げると、参道の縁石だったと思われる、直線に並んだ石の列を確認することができます(上写真赤矢印)。

錦春稲荷神社は東京小石川の陸軍造兵廠東京工廠内から移されましたが、その際に、鳥居や石灯籠なども東京から小倉へ移しています。それらは、この坂道を通って神社境内に運ばれたのではないかと思われます。参道跡には大きな松の木が生え、道幅も当時のままではないと思われますが、造兵廠が存在していた時代を伝える貴重な遺構であるといえるでしょう。
なお、この参道跡は誰でも自由に見ることができますが、平和のまちミュージアム自動販売機横や小文字通りからの観察にとどめ、参道跡地内には立ち入らないようにしてください。
(学芸員O)
【参考文献】
『工場適地としての旧小倉陸軍造兵廠』(小倉市)
小倉陸軍造兵廠同窓会編『小倉陸軍造兵廠史』(小倉陸軍造兵廠同窓会、1988年)