戦時中の代用品
2022/09/30
Vol.35 令和4(2022)年9月30日
戦争において、もっとも重要かつ大量に消費される資源が、鉄をはじめとする金属類です。日本では、昭和12(1937)年の日中戦争ぼっ発直後から「廃品回収」という名目で資源の回収が始まり、翌年6月には鋼材・銑鉄・銅・皮革など32品目の使用が民間において禁止されました。これにより、一般家庭ではアイロンや貯金箱など、金属製の多くの日用品の使用ができなくなりました。
こうして登場したのが、代用品です。金属製品や皮革製品などの代わりに、陶磁器やセルロイドなどの素材の品物が製造され、アイロンも陶器製のものが登場しました。
金属製品の回収は日中戦争の長期化によってさらに進み、昭和16(1941)年には「金属類回収令」が制定されます。これにより、ほとんどの金属類が軍需物資として回収され、生活のいたるところで代用品が用いられるようになりました。磁器製のナイフや陶器製の栓抜きなど、現代では考えられないようなものが普通に使われていたのです。
写真は、「戦争と市民の暮らし」ゾーンに展示している代用品です。いったい何の代用品なのか、ぜひご来館いただき確かめて見てください!
(学芸員O)
【参考文献】
石原武政「第二次大戦下の物資統制」(上)・(下)、『経営研究』71-4・72-1、2021年