第一回関門及北九州防空演習
2022/06/17
Vol.20 令和4(2022)年6月17日(金)
写真のポスターは、昭和6(1931)年に行われた「第一回関門及北九州防空演習」の際に製作され、町内に掲示されたものです。
この防空演習は、昭和6年7月16日から18日までの3日間実施されたもので、大阪、名古屋、水戸に続く日本で4番目に行われた大規模防空演習でした。演習実施地域は、現在の北九州市域や福岡市域を含む福岡県の北部および山口県下関市周辺などで、広い地域で灯火管制や射撃演習などが行われました。
本演習で画期的であったと言われているのは、灯火管制の方法です。それまでの演習では変電所で送電をストップする中央管制が行われていましたが、関門及北九州防空演習では市民や電力会社が自主的に制限を行う自由管制の方式がとられました。そのため、軍や警察、在郷軍人や青年団の指導のもとに、一般の市民も主体的に演習に参加することが求められたのです。こうした防空演習は、昭和戦前期を通して何度も行われ、市民は戦争への備えに動員されていくことになります。
このポスターは、「戦争と市民の暮らし」ゾーンで展示しています。ぜひご覧ください。
【参考文献】
石川捷治「第一回北九州防空演習(一九三一年七月) ―地域における戦争準備体制形成史ノートー」(『法政研究』55-2~4、1989年)
土田宏成『近代日本の「国民防空」体制』(神田外語大学出版局、2010年)