軍隊手帳から分かること
2022/06/10
Vol. 19 令和4(2022)年6月10日(金)
これは、太平洋戦争期の軍隊手帳です。明治時代から敗戦によって日本の軍隊が解体されるまで、一般の兵士を含む軍人全員に配布されていました。
手帳の内容は時期によって若干の違いがありますが、冒頭にはいわゆる「軍人勅諭」が記載されています。これは、軍人の心構えを天皇の言葉という形式で明らかにしたもので、特に陸軍では丸暗記することが求められました。このほか、軍隊手帳の取り扱いに関する注意や、応召・出征時の注意が記されています。
手帳の後半部分には、所属部隊や階級、出身地などの軍人としての身分を証明する情報が記入され、さらに部隊の所属歴や戦闘への参加履歴などが記録されました。上記写真の軍隊手帳を所持していた方は、昭和17(1942)年2月に西部第66部隊に入隊し、翌年西部第8088部隊に転属、同年6月から昭和20年5月まで八幡地区の防衛作戦に従事していました。この間、昭和19年6月の北九州へのB29本土初空襲などに対し、対空迎撃に参加しています。その後、宮崎県の都城に移駐し、そのまま終戦を迎えています。手帳の特業欄によると、この方は主に通信手として軍務についていたようです。
このように、軍隊手帳は持ち主の方が軍隊においてどのような経験をされていたのかを、私たちに語ってくれるのです。