11月3日 ~天長節、明治節、文化の日~
2023/11/03
No.76 令和5(2023)年11月3日
本日、11月3日は「文化の日」です。国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)によると、文化の日は「自由と平和を愛し、文化をすすめる日」と定められています。この文化の日、戦前・戦中は呼び方が異なり、少し違った意味合いを持っていました。
戦前、天皇の誕生日は「天長節」と呼ばれていました。11月3日は、明治天皇の誕生日だったのです。天長節とは、中国春秋時代の思想家である老子の「天長地久(天地が永久に不変であるように、物事がいつまでも変わらずに続くこと)」という言葉を用い、唐の玄宗皇帝の誕生日をお祝いしたことに由来します。
大正時代に入ると、天長節は大正天皇の誕生日である8月31日に改められます。一方、明治天皇の誕生日である11月3日は、昭和2(1927)年に「明治節」として定められました。その背景には、明治天皇の威光を記念したいと請願運動が起こるほどの、国民の強い要望があったのです。
日中戦争が勃発すると、日本政府は明治節奉祝実施要綱を毎年定めるようになり、明治節は国策に利用されます。さらに、昭和16(1941)年には文部省(現 文部科学省)が、祝祭日の礼法を礼法要項により制定し、「祝祭日には、国旗を掲げ、宮城を遥拝し、祝賀・敬粛の誠を表する」ことが求められました。また、明治節には学校において、天皇の写真を用いた儀式や国歌斉唱も行われました。
戦後、昭和21(1946)年11月3日に日本国憲法が公布されると、平和と文化を基調とする憲法にちなみ、昭和23(1948)年、同日は「文化の日」として定められました。現在では、文化勲章の親授式をはじめとした、文化にまつわるさまざまな催しが実施されています。
(学芸員M)