北九州市平和のまちミュージアム
  • 営業時間 9:30 ~ 18:00
    入館は 17:30 まで

    お知らせ

    一周年をむかえて 日々のミュージアムと、十年・二十年後のミュージアムへ

    2023/04/19

     北九州市平和のまちミュージアム館長の重信です。

     北九州市平和のまちミュージアムは、おかげさまで、本日令和5年4月19日をもって、開館一周年を迎えました。そして、この一年間で、およそ3万2,000人の方々が来館してくださいました。深く感謝申し上げます。スタッフ一同、一年があっという間に過ぎ去ってしまったという印象をもっています。

     開館して間もなくの4月、5月は、開館を待ち望んでいた多くの市民や関係者が訪れてくれました。そして、6月以降は「平和のまちスタディーツアー」により市内の小学校6年生が連日来館し、その数は7,300名を超えるものとなりました。スタディーツアーでは、学芸員を中心に、スタッフ総出で、小学生たちを展示へ誘いました。決して広くはない常設展示室を、50人から80人近くの子どもたちにどのように巡ってもらうか、工夫をこらしました。

    また、8月から11月にかけては、ミュージアムが特に力を入れ大切にしている長崎市との交流事業が続きました。8月8日から8月9日に、小学校5,6年生、中・高校生計20名を長崎に派遣した「青少年ピースフォーラム派遣事業」、8月9日には44組の親子88人が参加した「長崎市平和派遣事業」、また、10月の長崎市民大行進に合わせて大学生などユース世代を派遣した「長崎~小倉 次世代交流平和推進事業」、さらには、長崎市の若いピースボランティアの方々を平和のまちミュージアムに迎え、北九州の高校生・大学生との交流研修を実現した「長崎青少年ピースボランティア×北九州市学生による交流会」などです。

     これら交流事業のなかには、北九州市の平和事業として、これまで続けられてきたものもありますが、いずれも、新たにできた平和のまちミュージアムを拠点に、事前研修や事後研修などを組み合わせることで、北九州の歴史を踏まえての、より深い理解へいざなう、あらたな意味を持つ事業へとアップデートできたと考えています。

     この他、開館記念「原子爆弾と模擬爆弾“パンプキン”」をはじめ、「“軍都”北九州の歩みとその痕跡」、「収蔵品展」、「北九州市ができるまで~戦後復興の軌跡~」など4回の企画展を実施し、常設展ではお見せすることができなかった貴重な資料を展示し、常設展以上に歴史を掘り下げました。

     こうした日々の業務に邁進する一方で、いつしか私たちは、この仕事が、もう少し長い時間の尺度で、将来に向けて種子(たね)をまいているのだ、ということも自覚するようになりました。

     たとえば、連日訪れてくれた小学生たちが、このミュージアムの常設展の全てを理解することは、少し難しいかもしれません。しかし、短い時間のなかで、何か一つでも印象に残る発見や気づきを経験してもらいたい、そう考えながら、個々の展示に関心を示している子どもたちに、少し立ち止まって考えてもらえるよう声をかけ続けました。それが一つの種子(たね)となって、5年後、10年後そして20年後に、彼らがさらに知識を蓄え、いっそうの思考力を身に付けたときに、新たな気づきや発見につながることを期待しています。

     平和のまちミュージアムの展示は、一度見るだけでなく、少し成長してから再び見てもらうと、間違いなく、前には気づかなかったストーリーに出会うことができるよう工夫しています。だからこそ、一度と言わず、またいつかミュージアムに足を運んでもらいたいと考えています。

     また、長崎市との交流事業に参加してくれた高校生、大学生のなかから、ミュージアムによりいっそう関心を抱き、ミュージアムを拠点に深く考え、ボランティアとして調査研究も含めたミュージアムの事業に参加してくれるような方々が生まれることを期待しています。それはもしかしたら、今、小学生・中学生としてミュージアムに来てくれている子どもたちが10年後に再度このミュージアムに出会うための仕掛けになるかもしれません。

     私たちは、地域の歴史のミュージアムとして、日々の事業に邁進するとともに、より長い時間の尺度で、この施設の可能性を見据え、努力を重ねていきたいと決意を新たにしています。

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