北九州市平和のまちミュージアム
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    学芸員日記

    戸畑区牧山の高射砲陣地跡

    2023/01/20

    Vol.50 令和5(2023)年1月20日

     戸畑の市街地や関門橋を望むことが出来る戸畑区の牧山展望公園。その一角に、写真のような円形のコンクリートの構造物が残っています。現在では何の用途にも使われていないようですが、いったいこれは何なのでしょうか。

     答えは、高射砲(こうしゃほう)の砲座(土台)です。戦時中、ここには高射砲陣地があり、このコンクリートの土台に高射砲を据え付けていたのです。

     学芸員日記33「北九州の高射砲・照空陣地」で一度ご紹介した通り、戦時中の北九州地域には、敵の飛行機による空襲に備え、敵機を撃ち落とすための高射砲陣地や上空を照らすための照空陣地(サーチライト)がたくさん設けられていました。

     牧山の高射砲陣地は、そのなかでも早い段階から使用されていたと思われる陣地です。昭和14(1939)年には、日本製鐵(せいてつ)から陸軍に対して「牧山緑地」の献納(けんのう)が行われており、このあたりの時期から陣地の整備が始まっていったのではないかと思われます。太平洋戦争が始まった昭和16(1941)年12月時点ではすでに高射砲部隊が配備されていました。

     牧山の陣地には、7センチ高射砲6門が設置されていました。現在、そのうち2基の砲座が現存しています。目立たない存在ではありますが、身近に戦争があったことを伝える貴重な遺構です。

     このように、意外と身近なところに、戦争の痕跡が残っている場合があります。みなさんも、一度探してみませんか?

    (学芸員O)

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